2009年のクレーム素材
ビルメンテナンス情報
2009年のクレーム素材
著 木村光成 さん
2009年の新床材のかなりの部分が発表になった。
低価格とデザイン性と機能化の追求のために、メンテナンスのし易さは犠牲にされ、対応の難しい建築資材が増えている。これらのクレーム素材の発表は、ビルメン協会の反対が強く、公には発表できないため、セミナーで発表した。
来年の建築資材が出そろうのは3月であるが、それでは見積もりに間に合わない。そこで、本年夏から資料のそろった順に解説を行う。また、クレーム事例も報告する。
写真は最近発表の新製品の展示例である。
また、以下の解説はビルメン現場、ハウスクリーニング現場から見た評価解説であり、床材メーカーやゼネコンの立場とは、ズレがあることを了承願いたい。
1)要注意タイルカーペット
A:外国メーカーの増加と中国産カーペット
外国メーカーが、かなり増加している。
ミリケン、インク、タンダスなどであり、これらのメーカーは中国、台湾、タイなどの工場からの輸入品である場合が多い。ほとんどがテクスチャーループであるが、一歩進んだメルト加工や金糸を使用した高級品など、多様化傾向が見られ、対応に注意する。
各メーカーは多様化とデザインによる差別化競争の中にあり、販売量は少なくとも、新規ビルやリニュウアルビルでは、以下に述べるカーペットが使用される可能性が高い。
必ず提案書を作成しておく。
B:籐、麻、竹などの増加
籐、麻、竹などのタイルカーペットを各社が製造販売し始めている。エコの影響と思われる。
使用場所によってはメンナンス不能の例も多い。
C:ビチュウムの復活
数年前から見かけなくなった、1970年代から使用されたフロアSが、数社で復活。
ビチウムバックではないため、メンテはやり易いはずであるが、まだ旧製品が混在するため、見分けないとクレームの危険が大きい。
D:コードカーペット
貿易センタービル以来50年見かけなかった、コードカーペットが輸入されている。1社であるが注意。
E:電着カーペット
1社で発売されている。洗浄、起毛クレームの可能性。
F:超高密度カーペットの、カットもの
起毛に注意。ブラシの筋が消えない。
G:ダスト除去用デザインタイルカーペット
従来のダスト除去用カーペットは、あまりにもデザインが悪く、歩行性も悪かった。そこで、違和感のないダスト除去用カーペットが発売されている。
我々の関心はバキュームの効果である。
2)要注意ビニールタイル
傾向機能タイル優先
A:特殊コーテング剤塗付済みタイル
特に昨年の展示会から、特殊コーテング剤塗付済みのため、ヒールマーク、一般汚れは水ぶきでおちる。厚みは通常のワックスの4~6層分の厚みがあり、各社独自のメンテナンス方法でメンテナンスを行うと、従来の30%に費用が削減できた例がある。
B:防滑性不織布発泡ビニルシート(フラットで滑りにくくメンテが楽)
防滑性ビニールタイルは、研磨剤練込など各種の機能タイルが発売されているが、滑り難いものは汚れが付き易い。滑りやすいものは汚れが付き難く、メンテも楽である。石材やセラミックがよい例である。
どの程度の効果があるか、問題は多い。
C:置き敷き用タイルカーペット
最近は商業施設のリニュウアル用として、色彩の鮮やかなホモジニアスタイル全般を、置き敷き用タイルとして使用する傾向がある。
接合部のメンテに注意。
2:2008年クレーム事例
A:中国産花崗岩のクレーム
中国産花崗岩が導入されて15年。そろそろ各種のクレームが目立ち始めた。
10年ほど前から、黒花崗岩の変色(染めの色落ち)が起きて以来、まだ大きなものは少なかった。しかし、最近、中国花崗岩のさび石からの、さびの発生が起き始めている。
対策:判別実験、鉄分のある石の判別法
C:中国産天然石材風セラミックのクレームの現状
中国産セラミックは輸入ルートが複雑で、また、ロットごとに品質が異なる例が多く、傾向がつかみ難い。そんななかで、現況を報告する。
表面の保護材が原因の汚れは、保護材の蝋また乾性油の桐油が使用された製品は、ほとんどなくなった。
細孔に入り込んだ汚れは、アルカリ溶剤か酸性洗剤を使用し、メラミンパットでほぼ除去可能である。極細パットはあまり効果が認められない。
対応は、顔料による細孔の確認と汚れの落ちを確認することに尽きる(顕微鏡使用)。
2009年のクレーム素材
著 木村光成 さん
2009年の新床材のかなりの部分が発表になった。
低価格とデザイン性と機能化の追求のために、メンテナンスのし易さは犠牲にされ、対応の難しい建築資材が増えている。これらのクレーム素材の発表は、ビルメン協会の反対が強く、公には発表できないため、セミナーで発表した。
来年の建築資材が出そろうのは3月であるが、それでは見積もりに間に合わない。そこで、本年夏から資料のそろった順に解説を行う。また、クレーム事例も報告する。
写真は最近発表の新製品の展示例である。
また、以下の解説はビルメン現場、ハウスクリーニング現場から見た評価解説であり、床材メーカーやゼネコンの立場とは、ズレがあることを了承願いたい。
1:2009年要注意床材の解説 まず低価格、デザイン優先である傾向は変わらず、色調も10年以上モノトーンが続いている。また、ウエットルック傾向も強い。『不景気にはツヤが求められる』という格言を裏付けている。 また、エコ傾向は非常に根強い。我々現場にとっては歓迎できない天然ゴムタイル、リノリウムなどの使用は根強いものがある。 対策:判別実験、天然ゴム、リノ、塩ビの確認 |
1)要注意タイルカーペット
A:外国メーカーの増加と中国産カーペット
外国メーカーが、かなり増加している。
ミリケン、インク、タンダスなどであり、これらのメーカーは中国、台湾、タイなどの工場からの輸入品である場合が多い。ほとんどがテクスチャーループであるが、一歩進んだメルト加工や金糸を使用した高級品など、多様化傾向が見られ、対応に注意する。
各メーカーは多様化とデザインによる差別化競争の中にあり、販売量は少なくとも、新規ビルやリニュウアルビルでは、以下に述べるカーペットが使用される可能性が高い。
必ず提案書を作成しておく。
メルト加工 |
金銀糸、織り込み |
B:籐、麻、竹などの増加
籐、麻、竹などのタイルカーペットを各社が製造販売し始めている。エコの影響と思われる。
使用場所によってはメンナンス不能の例も多い。
C:ビチュウムの復活
数年前から見かけなくなった、1970年代から使用されたフロアSが、数社で復活。
ビチウムバックではないため、メンテはやり易いはずであるが、まだ旧製品が混在するため、見分けないとクレームの危険が大きい。
サイザル |
フロアS(ビチュウムタイプ) |
D:コードカーペット
貿易センタービル以来50年見かけなかった、コードカーペットが輸入されている。1社であるが注意。
E:電着カーペット
1社で発売されている。洗浄、起毛クレームの可能性。
F:超高密度カーペットの、カットもの
起毛に注意。ブラシの筋が消えない。
G:ダスト除去用デザインタイルカーペット
従来のダスト除去用カーペットは、あまりにもデザインが悪く、歩行性も悪かった。そこで、違和感のないダスト除去用カーペットが発売されている。
我々の関心はバキュームの効果である。
2)要注意ビニールタイル
傾向機能タイル優先
A:特殊コーテング剤塗付済みタイル
特に昨年の展示会から、特殊コーテング剤塗付済みのため、ヒールマーク、一般汚れは水ぶきでおちる。厚みは通常のワックスの4~6層分の厚みがあり、各社独自のメンテナンス方法でメンテナンスを行うと、従来の30%に費用が削減できた例がある。
B:防滑性不織布発泡ビニルシート(フラットで滑りにくくメンテが楽)
防滑性ビニールタイルは、研磨剤練込など各種の機能タイルが発売されているが、滑り難いものは汚れが付き易い。滑りやすいものは汚れが付き難く、メンテも楽である。石材やセラミックがよい例である。
どの程度の効果があるか、問題は多い。
C:置き敷き用タイルカーペット
最近は商業施設のリニュウアル用として、色彩の鮮やかなホモジニアスタイル全般を、置き敷き用タイルとして使用する傾向がある。
接合部のメンテに注意。
2:2008年クレーム事例
A:中国産花崗岩のクレーム
中国産花崗岩が導入されて15年。そろそろ各種のクレームが目立ち始めた。
10年ほど前から、黒花崗岩の変色(染めの色落ち)が起きて以来、まだ大きなものは少なかった。しかし、最近、中国花崗岩のさび石からの、さびの発生が起き始めている。
対策:判別実験、鉄分のある石の判別法
B:中国産フローリングのクレーム 最近、中国産フローリング(竹)の大規模な穴あきクレームが発生した。女性のピンヒールの跡が、丸くへこむ現象である。 1年程度でこのような現象が起きる例は、まだ知られていない。 大手管理会社であり、すぐ修復されたが、この現場は要注意現場であり、原因が究明できる可能性がある。 対策:竹の判別を覚えておく。 |
C:中国産天然石材風セラミックのクレームの現状
中国産セラミックは輸入ルートが複雑で、また、ロットごとに品質が異なる例が多く、傾向がつかみ難い。そんななかで、現況を報告する。
表面の保護材が原因の汚れは、保護材の蝋また乾性油の桐油が使用された製品は、ほとんどなくなった。
細孔に入り込んだ汚れは、アルカリ溶剤か酸性洗剤を使用し、メラミンパットでほぼ除去可能である。極細パットはあまり効果が認められない。
対応は、顔料による細孔の確認と汚れの落ちを確認することに尽きる(顕微鏡使用)。