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2006年建築資材展分析

ビルメンテナンス情報
『2006年 建築資材展分析』

著 木村光成 先生

1:展示会の重要性
3月7日からビルメンにとり重要な展示会が行われた。建築資材展である。
最近の建築資材の移り変わりは速い。新規現場、または建設中現場、リニューアル現場に対する提案書データとして、過去のデータでは弱い。最新のデータが必要になる。この最新データの入手方法が展示会である。

ビルメン現場にとって重要な展示会が3つある。
1:年末に行われるインテリアトレンドショー。
カーペット、壁面、カーテンなど、繊維製品の最新情報、言い換えればメーカーの今後売り込みたい商品が展示される。
2:3月に開催される建築建材展。
石材、フローリング、塗料などの新製品が展示される。
3:フランチャイジー展はビルメン業界にも影響がある。
特にハウスクリーニングには影響があり(ダスキンの影響)、最近は輸入万能洗剤も、この業界から流入している。
この3展示会は、我々は第1回から欠かさずデータを集めている。

展示会も、その時の建築デザインの流行を反映して消長があり、石材展のように盛大であったものが、見る影もないような事例もある。
まず、ここではカタログの収集とメンテナンスについての情報収集を行い、同時に開催されているセミナーでデザイン業界、設計業界、ビルオーナーの動きを知ることである。重要なことはビルメン現場の目で分析を行うことで、ビルメンを知らない関係者が見ても、肝心な傾向は掴めない。業者は良い点だけを強調して、陰に隠れたクレームの芽を明らかにはしない。これを見抜くことが重要である。
ここで入手したサンプルを、分科会で行う判別技術でテストし、クレームの危険やメンテ技法を応用して先取りデータを提案書(むしろ積算見積もり書)に記載する。これらの点を理解してもらうため、本年3月の建築資材展での木床を中心としたデータ収集事例を次に述べる。
ビルメン業界では、この種の情報を重視しないこともあり、ビルメンの立場からの評価は流れていない。この事実が、ビルメン現場がオーナーや建材業者に対し、不利な立場になる大きな要素でもある。
メンテナンス法は、資材メーカーに聞けばよいという考えは通用しなくなっている。

2:2006年 建築建材展分析 設計会社、オフィスコンサルタントの床材に対する今後の見解
カーぺットとフローリングの比較は一長一短があるが、カーぺットは衣類と同じで水を使わない清掃は不衛生であり、パウダークリーニングには残留ダストの問題がある。カーぺットメンテナンスは不十分との評価が多い。
使用者の立場では、オフィスの環境衛生については非常に敏感である。これはたたみの生活をしている日本人にとって、カーぺットの考え方も欧米とは異なることを考慮すべきであろう。短絡的に土足と素足の違いだけでは論じられない日本人の生活の歴史を反映している。
今後のオフィス建築資材は自然材料が求められている。桐、紙、炭、珪藻土、土、間伐材。これを仮にカリスマ材と呼ぶ。

特に桐材は、金庫の内部に使用されるくらい火に強く、湿度調節作用もあるので、わが国のような気候のオフィスには理想的である。桐は中国産を使用すれば1㎡あたり2000円であがり、表面にチーク材などを張り、裏面を炭化しておけば理想的である。
これらが設計業界、コンサルタント業界の動きである。しかし、これらのカリスマ材はメンテナンス側としては、クレームをはじめとして負荷が大きいことを表明しないと、ビルメンが不利になりかねない。

写真1:中国産桐の売り込み
最近の建築素材展では、カーぺットやビニールタイルなどの展示はほとんどない。これらはインテリアトレンド展に出ている。また、数年前から、大手はネットで情報を流し、カタログ、価格表などは登録すればダウンロードできる体制にある。しかし、まだ現物とカタログのギャップがあり、色調、足ざわり、など感覚的な部分は展示会で確認せざるを得ない。
全般的な流れは、やはりフローリングである。数年前からカーぺットメーカーはカーぺットルネッサンス運動をはじめているが、まだまだ十分とはいえない。カナダ、アメリカなどのフローリングの売り込みは政府の後押しでかなり大々的である。天然石材はエジプトが大きな小間を取り、ライムストーンの売込みを行っている。天然石材より天然石材風の陶磁器の展示が多く、これは価格の点で今後のビルに普及する可能性が大きい。

写真2:カナダの無垢材展示
これらは純粋な天然素材であるが、合板メーカーも大きな展示を行っている。

写真3:0.2mmに削った高級材
高級木材を薄く削り、合板に貼り付ける展示である。資源節約を前面に打ち出している。

リノリウムの世界最大のメーカー、フォルボも販売促進を行っていた。
色調もかなり明るい製品が出ていることと、従来の長尺シート以外にも、タイルサイズの販売にも力を入れていて、リノリウムはシートで溶接という先入感は今後危険である。また、保護剤を塗布したものに力を入れてノーメンテを打ち出している点は、ビルメン現場にとって要注意である。
ビニールシートなどの類似品との見分けには『臭い』を強調していたが、時間が経った場合は、専門家の判別が必要との答えであった。

写真4:
最大の小間取りをした3Mは、床、壁面、スチールドア、ガラスなど、あらゆるものを対象にした各種シートを販売していた。リニューアルは大きな市場と判断しているのであろう。
このような張物は、無垢材との見分けに注意が必要で、同社のフロアパットでの洗浄がクレームになりかねない。事業部が異なり、販売ルートも違うため、確認を必ず行う。またシミヌキ剤によるクレームも増加している。

次に目を引いたのは塗料業界の攻勢である。
水性ウレタン普及協議会などの出店もあり、樹脂ワックスとの差が少なくなり、密着性や剥離剤のクレーム問題などと取り組んでおく必要性が大きい。

以上とりあえずの分析を記載する。

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