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『わり肌石材クレーム』

ビルクリに学ぶ
『わり肌石材クレーム』

著 木村光成 先生

 よくて高いものが減っている。見た目がよくて安いものが増えている。安いものがよいという理論付けが必要になる。それが自然にやさしい環境によいである。
天然石はバブル以後値下がり続きで、2006年の石材は天然石風人造石が流行りそうである。
しかし、その前に出来るだけ安い天然石というのがスレート類であり、別名割り肌石材と呼ばれる。大理石の安物がライムストーンで、ルイビトン、ルーブル、エッフェル塔で使われたために高級品になった。
スレートという鉱物は無く、板状に割れやすい石材の総称で、鉄平石が代表である。板状に割れるから研磨や引き割りの必要がない。鉱物学的には各種の火成岩、変成岩、堆積岩などあらゆる石が含まれる。耐薬品性やメンテ性もまちまちである。
 この中にはかなり吸水性の高い石材があり、これが流行しそうな気配がある。ヒートアイランド現象とグリーン化対策である。
うち水の効果が期待されて、吸水性が高いことが石材の売りになってきた。これは水と共に汚れが入りやすいということでもあり、汚れやすく汚れが取れにくいということになる。
これは我々現場にとってよいことではない。その上に水の問題がある。

ヒートアイランド対策などに用いられる水は循環式であり、再生水を使用している。最近のビルはほとんど再生水、すなわち中水を使用している。植生への散水、トイレ用水、自動床洗浄機の水の補給に使用しているのを見たこともある。
問題は、その水の硬度である。硬度は水に含まれるナトリウム、カルシウム、珪素などで、これの多い水を硬水と呼んでいる。外国は硬水が多く、わが国は例外的に軟水が多い。それだけ不純物の少ない、きれいな水である。軟水が多いことは自然が豊かである証拠でもある。しかし最近は味がよいとして、ボルビックなど外国の硬水が販売されている。
噴水などに使用される再生水は硬度が高いため、乾燥すると白い粉(一般的にエフロと呼ばれる)が発生する。場合によると黒や赤の場合もある。それらが石にしみこんで外見が非常に悪くなる。このクレームが多発している。
これより大きな問題は、トイレが汚れやすくなることである。尿石といわれてビルメンの責任にされている部分も、この水に含まれる化合物であることが多い。その証拠には、最近のビルの硬度を測定したところ200ppmという例まである。
中水の成分を計り、提案書を提出しておかないと、全てビルメン現場の責任にされる。簡単に調べる技法のセミナーも計画している。やはりこれらの問題は実験で身につけておかないと、説得力のある提案書はかけない。


最近のビルのトイレ水の硬度(カルシウム) [ppm]
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