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ビルメン業界の現状分析

ビルメンテナンス情報
ビルメン業界の現状分析

著:木村光成 先生

去る2月2日、株式会社つやげん主催で、2006年入札に向けた『ビルメン業界の現状分析セミナー』を開催した。
このセミナーは毎年1月から2月の間に行われ、今回で7回目になる。前年度の情報の総まとめであり、次年度の予測を行うセミナーである。
しかし、このような販売を目的にしないセミナーはビルメン業界では開催し難い。また、ビルメン業界の分析については関連協会からの圧力がある。特に2006年のビルメン業界の予測と分析は、文書化できないため口頭説明で行っている。

最近は情報の重要性が認められ、以前より評価される傾向にある。ぜひ横浜でも開催に踏み切ってもらいたい。
今回初めてこのセミナーの概略を報告する。


1、2006年のビルメン業界の予測と分析

昨年のビルメン関連のニュースを挙げて、これらの現象の裏にある流れを考察し、その必然性の原因を討議し、今後の各自の対応の資料した。

1:日本ビルサービスの、ビル代行による合併
2:葛飾区指定管理者問題
3:東京都の管理コスト10%切り下げ
4:横浜市の公募型入札

※入札、見積もり時、管理会社やコンサルタントによって引き合いに出る事例
5:川崎市の1円入札
6:川口市の談合疑惑などがある
7:ビルディング協会2005年管理費調査


2、06年管理会社のビルメン評価法

1:詳細な仕様書
2:コストの比較についてのプレゼンテーション
3:4段階評価と清掃に関してのテナントによるアンケート評価

注:大手不動産会社の子会社も見直しが望ましい。系列会社は受注価格が高い。


3、2006年 素材別動向(見積もり時注意事項)

昨年11月にマンションの手抜き工事が明らかになった。今の世の中、すべてが外見優先。ビルメン現場を囲む環境も、洗剤も清掃機械も、程度の差こそあれ同様である。最近のビルメン展では、環境にやさしい洗剤の表示に、英文で燐を含むと表示のある輸入洗剤があった。
メーカー、販売業者は、まず商品の欠点は言わない。そして我々メンテナンス現場のことはあまり考えていない。メーカーにメンテ法を聞いても、クレームの危険はまず教えてくれない。その結果現場が泣きを見る。
これらのメーカーの裏を読み、カタログの裏を読む知識と情報が必要である。

10月に試みの会でメーカーを呼び、石材の動向の話を聞いた。これについてビルメン現場からの私的な評価を記す。
まず、過去の流れを見てみると、バブル以後安く見栄えのよい石材を求め続けてきた。その例が中国産石材とライムストーンである。そして、より安いスレート、クオーツサイト、その割り肌、乱形であり、メンテナスの問題が起きた。
1年で改装せざるを得なかった品川駅有料トイレは、メンテ不可能な石材による設計例である。これを経て、羽田第2空港にはミクロチップ花崗岩レジンテラゾーが使用されている。
そして2006年は石材に変わり、ガラスと天然石調タイルの、いうなれば新人造大理石の時代が来る可能性がある。


過去の石材傾向
時期 使用石材 代表使用石材
バブル時 天然石材(本石)、本磨き  
バブル末期 天然石材、バーナー仕上げ、レジンテラゾー 中国産花崗岩
同上 新石材、御影石系レジンテラゾー ライムストーン、スレート、
クオーツサイト、中国産花崗岩
現在 新石材、割り肌仕上げ、乱形施工 同上
2006年予測
新人造石のメンテ問題
天然石調タイル
結晶化ガラス 汚垂石、壁面
アクリル系大理石(MMA) キッチンユニット


2006年 石材クレーム予測と注意点
天然石調陶磁器タイルのクレームの多発。

新人造大理石(2006年要注意)
新人造大理石は、今までのレジンテラゾー、セメントテラゾーとは異なり、陶器、ガラス、MMA(メチルメタアクリレート)の3種類である。ガラスとMMAは既に使用され、後者はハウスクリーニングでよくトラブルを起こす。
問題は次の天然石調タイルで、これは天然大理石そっくりの陶器である。もちろん陶器であるから大理石よりはるかに硬い。数年前から新築ビルに導入され、北海道の大型ビルではワックスが不要のためワックスメーカが当てはずれでショックを受けていた。

この系統の天然石調タイルはイタリアもので、かなり高価であったが、これが中国で生産される可能性が出てきた。同時に大型の製品、いわゆる1200×1700mmのスラブ板が生産できるようになった。と、なると、中国産花崗岩で起きた価格破壊が、再び起きる可能性がある。製品も、ビアンコ、ネグロマルキーナ、など本物の大理石と同じ名前で、自然破壊を防ぐという意味もあって無視できない素材である。

問題はメーカーの説明で、メンテ性は過去のいかなる素材に勝るとしているが、艶落ちとすべりの問題は避けて通れず、メンテに問題が起きる可能性があり、ビルメン自身の研究による対処が必要である。
今回のセミナーでも、参加者から都内の新ビルで、艶落ちと傷に関するクレームが報告されている。


2006年 カーぺット動向
06年入札で新規現場受注の注意点を挙げる。

2006年のカーぺットの流れを示す、05年最後の『第24回 インテリアトレンドショウ』が11月に開催された。
我々は展示会の第1回から毎年これにより次年のカーぺットの傾向を占ってきた。一昨年、そろそろ黒白を基調としたモノトーンからの脱却を予想したが、まだ抜ききれていない。

この先、ビルの強度偽装問題がビルメンに大きく影響することが予想される。今まで以上に躯体に費用を取られ、その分内装費が削られる一方で、内装の見た目はますます豪華さが要求され、費用は切り詰められる。これは、石材でいえば厚みを減らすことにつながる。
カーぺットの本年の傾向は、低価格とデザイン偏重である。そして犠牲になるのはメンテナンス性である。
作業のし難さ、難易度は上がる一方。そして、清掃機械も洗剤も、見えない部分に注意が必要である。
たとえば、ある輸入新型バキュームの場合、吸引力はそのままで幅が大きくなっている。これは単位面積当たりの性能の低下を示している。吸引力の低下はパイル内部のダストの取り残しを意味する。

 06年は、カーぺットはパイルの凹凸で模様を浮き出す、いわゆるグラフィックカーぺットが引き続き流行するだろう。しかし、このカーぺットの問題点は、清掃機械の性能低下と、メンテナンス難易度の高さにある。
ハイロウカーぺットは汚れが取れ難く耐久性がないことは、20年前にミラサムの三井物産・佐藤繊維部長が述べていて、データもある。だが、現在、カーペットメーカーは、ほとんどこの注意点に触れていない。グラフィック模様と清掃機械の組み合わせによっては、通常のタイルカーぺット(3mmレベルループ)の40%程度しか耐久性がない例もある。
その上にカーぺットマシンの低性能化である。こういった点は、データを付けて管理会社に提案しておくことである。
写真はパイルの凹凸によって模様を表現するタイプの、タイルカーぺットの種類である。物によっては日常管理に数倍の手間がかかる。
ポイントは、これらカーぺットの日常管理に適した真空掃除機の選択に尽きる。現場で実測効率を測定して選ぶ必要がある。


2006年 カーぺットクレーム予測と注意点
獣道の発生と吸い上げの多発

「カーぺット3年、石7年」とよく言われる。しかし、1年、場合によっては数ヶ月でクレームの発生が起きている。
その理由には以下のものが挙げられる。
1:バキュームの効かない凹凸のあるカーぺットの増加。
2:清掃機械の性能低下、カタログと実測値の異なる輸入機が多い。
3:バキュームレス清掃機の増加。

バキュームを使わないで、ブラシやスポンジ、ローラーなどを利用して効率を上げた機械を、バキュームレス清掃機と呼ぶ。これはバキュームモータが電気の消費量が多いため、回転ブラシでバキュームの代わりをさせたものである。
しかし、この手の機械ではカーぺット表面の汚れしか取れず、カーぺットの内部のダストは全く除去できない。このため、獣道や吸い上げが短期間で発生する。
いずれにしても、カーぺットメーカーも資機材メーカーも、自社商品の販売が第一であり、メンテナンスはその後である。この傾向は昨年より強い。
特に大型商業施設でクレームの発生が見込まれる。





2006年 木床クレーム予測と注意点
リノリウムクレームの多発

特に目立つのが、リノリウムのクレームである。また、ラバータイルも多い。
リノリウムはサンプル断片での見分け方は簡単であるが、現場でワックス塗布されて汚れた状態では、臭いや裏地での判別は難しい。ホモジビニールタイルや長尺など、本物以上の製品も多い。現場での判別法を身につける必要があるが、最近では、ほとんど教育していない。
最近のリノリウムやラバータイルは。デザインの変化が大きい。情報収集が必要であり、特に輸入品にこの傾向が強いのは、カーペットも同様である。このためクレームが起きて初めてリノリウムであることが分かった例がほとんどである。


追記:上記の詳細な内容や対応技術は、今後ホームページや、予定しているつやげんサマーセミナーおよび、ジョンソンフロアラボで行っている実験セミナーなどで発表してゆく予定である。
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