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リノリウムクレームの増加と判別技術の低下

ビルメンテナンス情報
『リノリウムクレームの増加と判別技術の低下』

著 木村光成 先生

リノリウムクレームが増加している。
ハウスシック問題で、事務所ビルでもかなりリノリウムが増加してのがその理由であり、試みの会のビルメンからも問い合わせがかなりある。ビルメン情報ランドにも以下のような質問が載っていた。

 教えて頂きたいのですが、最近多いリノリウムの床材で、樹脂ワックスを塗り重ねてしまいました。
リノリウムを剥離すると、床が溶けてしまうと聞きました。どのように剥離をしたら良いか教えてください。出来れば使用洗剤も解れば……。

そのほとんどはアルカリ洗剤による変色である。
従来は色が濃くなる事例が多いが、それだけでなく、色泣きの状態や、水玉模様が出来たなどの報告がある。また、それほどアルカリの高くない洗剤による例も報告されていて、溶剤が原因の疑いがある。
いずれにしてもリノリウムの場合、アルカリの使用は禁止したほうがよい。

 ビルメン情報ランドの事例は、樹脂ワックスをリノリウムに塗布してしまったという事例である。
この件で気がついたことは、現場でのリノリウムの見分け方のスキルがないクリンクルーが、かなりいるということである。
テキストでは建築仕様書で調べればよいとして切り捨てているが、現実には新築以外は建築仕様書が見られない場合も多く、床や壁はテナントの希望もあり最後に施工されるため、仕様書通りでないことが多い。
最近はビルの証券化で管理会社に建築知識のない場合も多く、建築素材の判別はビルメンの技術であり、素材も判別できずにメンテが出来るのかと反論されることが多い。

最近あるワックスメーカーが素材サンプルを販売したが、現場ではあまり役立たない。特にカーぺットでは、タフトが混毛の場合も多い。
その理由を述べると、リノリウムやリノリウム類似柄のビニールタイル(コンポジ、ホモジ、長尺、CF)などは、サンプルであれば断面や裏を見られるが、現場では裏は見られないし、ワックスが塗布され汚れていて、表面からの判別は出来ない。
素材サンプルを販売したワックスメーカーのセールスに、現場で判別させたが、ほとんど判別できなかった。偽物が本物以上によく出来ているのは、ルイビトンなどの例でも分かる。

以前は、これらの素材判別は現場責任者が教えていたが、リストラでほとんどいなくなり、協会のテキストでも、判別技術はすべて削除されている。これは手間のかかる実験を行わなければならないためもあろう。

 これらの現場での判別法は――

1:ルーペ法 2:PH法 3:溶剤法 4:染色法

――などであるが、最も簡単な方法はルーペで拡大すればよい。石材、木床の見分けと同じ基本である。リノリウムであれば表からはコルクが見られ、内部には麻が見られる。
隅の部分でコアサンプルを取り、抜いた穴は埋めておく。

いずれにしても、判別にはある程度のスキルが必要であり、セミナーでの実習が必要になる。
現場での素材判別方法の清掃委員会での実質的禁止を、そろそろ解禁にする時期であろう。


ルーペによる判別

この場合、50倍の目盛り入りを使用しているが、これはビニールタイルの組織判別用であり、25倍でもよい。目のよい人なら10倍ルーペが使いよい。
表面:コルク片が見られる。
裏面:麻が見られる。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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