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答えられないクレーム相談

ビルメンテナンス情報
『答えられないクレーム相談』

著 木村光成 先生

最近、答えられないクレーム相談が増えています。
協会の先生方は「ほうれんそう」という言葉をよくお使いになります。「報告、連絡、相談」のことで、大変大切なことです。携帯電話、メール、インターネットなどによって、連絡は非常に楽になっています。写真も送れます。ところが報告と相談に問題があります。
クレーム相談の場合、相談の内容が両者に理解されなければなりません。床材の相談では、その床材が何かということが最小限の相談の条件です。これがお互いに一致していないとおかしなことになります。ビルメン現場で最も必要な知識は、床材の見分け方です。この技術が業界で大幅に低下しています。

床材の種類は建築図面を見ればよいということになっています。ところが建築図面が見られない場合が多く、もし見られても、現物と図面が一致しない例は珍しくありません。床材や壁装は、建築の最後の段階で決まる例が多いのです。古いビルでは分からないのが当たり前です。また、マンションの強度さえごまかされるのですから、床材のごまかしは当たり前です。特に石材の厚みや、木床のごまかしはかなりあります。
回答する側にも問題があります。教科書を読んだだけで、現場を知らない人たちが増えています。テキストは建前であり、現場とは大違いなのです。管理会社に床材の種類を聞いても「メンテナンス屋がそんなことも知らないのか」と言われます。ましてメンテ法やクレーム対応を聞くわけにいきません。

実際に現場で使える床材の見分け方が教えられていません。これを覚えるには現場実習しかありません。各自が実際に行ってみる実験セミナーが必要です。教科書や、まして通信教育では不可能です。

以下に、クレーム相談の実例を挙げてみます。

相談
飲食店の床というかジュウタンというか、なんともいえませんが、素材が麻でできている場所があるのです。汚れ的には油汚れかカビと思われます。それが麻に染み込んでいるところもあります。
ブラシをつけたポリッシャーを回すにも、麻を痛めてしまいそうでちょっと使えそうにありません。いくつか方法があれば教えていただきたいのですが……どうかよろしくお願いします。

回答
一般に、麻は吸水性が高く、水分をよく吸い取る分、汚れ(油成分など)もつきやすいようです。逆に間違った方法で洗浄しなければ、きれいになりやすいのが麻の特徴です。麻には、たくさんの種類がありますので、ここでは、その代表格として知られるリネンについてご説明いたします。
洗剤には中性か弱アルカリ性のものをお勧めします。蛍光剤や漂白剤などが入っているものは避けてください。お湯(40~60℃ぐらい)で浸したきれいな雑巾を使い、たたくように拭くといいです。
但し、いずれの汚れもこの方法で取れる訳ではありません。どの清掃でもそうですが、目立たないところで一度汚れが取れるかどうか、試してから行なってください。


相談について
 まずこの現場で使われている床材が分かりません。麻という素材も、ビルメンではほとんど出会いません(内部的にはカーぺットの基布、ビニールタイルの積層材)。
おそらくこれはサイザル、またはパームの特殊カーぺットです。東京フォーラムや丸ビルで使われた、メンテが非常に困難な床材で、一見麻とは考えにくい素材です。ジョンソンのパットに使われています。
おそらく管理会社からメーカー問い合わせてみて、サイザルやパームでは分かりにくいため、比較的近い麻という回答が出たのでしょう。

回答について
 回答者は女性のような気がします。というのも、リネンにはふたつの意味があるのです。
1、麻で作られた洋服地で高級品です。
2、リネンサプライと呼ばれタオルなどのレンタルで、必ずしも麻を使いません。
ビルメンでは2のほうが関係があります。1の方は、クリーニング業者であればともかく、ビルメン現場では知らないでしょう。しかし、どうもこの回答は1について語られているようです。

……となると、この相談と回答はかみ合っていない、すれ違いなのです。

 左の写真は、サイザル、パーム椰子などの特殊なタイルカーぺットです。麻と全くの別物であることは、下のサイザルの写真を見ればお分かりでしょう。
最近の床材は、デザイン、低価格が優先され、なんだか分からない素材や、見分けのつかない偽物が増えています。素材メーカーでさえ知らない製品が多いのです。ゼネコンが直接仕入れる場合が多く、メンテの事など考えていません。
薬品や測定器を使う床材判別技術がますます要求されています。ビルメンのことはビルメン自身が研究しなければなりません。ビルメンのために研究してくれるところなどありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

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