21年度 第3回こころみの会
21年度 第3回こころみの会 実施日:2008年6月18日 会 場:産業貿易センタービル 主 催:こころみの会 講義1:新型インフルエンザ対策 講義2:知的障害者就労支援成功例 講義3:新製品紹介 講義4:企業紹介 |
講義1:新型インフルエンザ対策 ジョンソンディバーシー株式会社 やや落ち着いてきたものの、いまだ警戒すべき状況の続いてる新型インフルエンザについて、基本情報と感染防止の解説がありました。 基本情報については、新型インフルエンザ、豚インフルエンザ、鳥インフルエンザなどの違いについて。そして感染症の『WHOパンデミックフェーズの分類』について解説がありました。 感染防止については『政府からの予防対策』『かからないための予防法』『事業者・職場としての感染予防』それぞれについて解説がありましたが、実のところ内容はほぼ同じで、病気の感染予防としては基本中の基本「人ごみを避ける、手洗い、うがい」に集約されるようです。 最後に、感染者が出た場合の、清掃作業について説明がありました。 基本的には、通常の拭き掃除を行い、あきらかに感染者の体液が付着している場合には、熱消毒かアルコール製剤による消毒を行うそうです。 ポイントは、消毒液をスプレーや霧吹きなどで、噴霧しないことで、これをしてしまうと、ウイルスの飛散につながり、誰よりも作業者が危険にさらされることになるので、注意してください。
参考: ジョンソンディバーシー株式会社『新型インフルエンザ対策情報』 |
講義2:知的障害者就労支援成功例 ビルメンテナンス業界における障害者就労支援について、大阪からゲストをお迎えしての講演会がありました。 |
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大阪知的障害者雇用促進建物サービス事業共同組合(エル・チャレンジ) 丸尾 氏 愛称のエル・チャレンジは「Labor Challenge」の意で、働くことへのチャレンジを意味するそうです。 1999年の設立当時、身体障害者の雇用率はあがっている一方で知的障害者の雇用率は下がる傾向がありました。 エル・チャレンジは設立以来、行政、企業、福祉の間に立った支援機関として、就労が難しい知的障害者の就労支援を目的に活動しています。 養護学校や支援団体などからは、就職希望者や訓練生の受け入れを。企業との間では、障害者雇用についての相談や、就職後の定着の支援などを行っています。 エルチャレンジでは、障害者の就労支援というだけでなく、社会に出た後に障害者が困ったり戸惑ったりすることのないよう、まず、社会に通用する技術を習得してもらい、また、社会人としての必要な社会技術(挨拶や道徳、身辺自立など)を、生活レベルから分析し、個人の状況に応じて必要な技能を習得できるように工夫しています。 平成9年~11年の調査では、就職1年での平均離職率は約16%で、3年後まで続いてる人は64%、逆に言えば、36%が3年で離職しています。 こういった状況の下、障害者が就職するのを支援するとともに、働き続けられる(職場に定着できる)環境を整えることに力を注いでいます。 設立から9年で300人ほどを送り出し、9割が職場に定着して働き続けているそうです。 障害者の立場に立った、企業としての業務の遂行に何が必要か ・少しの配慮や工夫があれば、障害者は働くことができる。 ・障害者の側に立った視点。 ・企業と障害者は、対立するものではなく、快適な労働環境を作り上げるパートナーとなること。 ・障害者が働きやすい職場は、障害のない人にとっても快適な職場となる。 就労支援ワーカーが担うべきこと ・企業と障害者の間に立って、調整を進めるコーディネーターであること。 ・企業の業務遂行と、障害者の人権は対立するものではなく、目的は同じ。 ・これをうまくコーディネートする、就労支援の専門家であること。 最後に、総合評価一般競争入札制度について、お話がありました。 せっかく1年かけて現場に定着しても、入札で負けてしまえば職を失ってしまいます。 これを少しでも改善するのが総合評価一般競争入札制度で、価格と価格以外のいくつかの要素を総合的に評価し、発注者にとってもっとも有利な者を落札者とします。 これは、大阪府の目指す『行政の福祉化』を進め、入札の基準を『金額基準から社会的価値基準へ』と変える制度です。
参考: 大阪知的障害者雇用促進建物サービス事業共同組合(エル・チャレンジ) |
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大阪ビルメンテナンス協会 理事 株式会社美交工業 福田 氏 株式会社美交工業では、知的障害者雇用にあたって、単に法定雇用率やイメージ優先の障害者雇用にならないように、支援者(エル・チャレンジ)と協力して創意工夫を重ね、現在では雇用率30%を超えるようになり、重度障害者雇用の認定も受けているそうです。 障害者の雇用には、経営者の都合や決定だけではなく、管理職の人材育成、現場への周知、そして専任支援者の配置など、企業から作業現場までが一体となった受け入れ態勢が大事です。 ここでいう専任支援者とは、事前に勉強会などを行って、障害者についての知識と理解を持った担当者のことです。 たとえば、現場にいる人が好き勝手バラバラに指示を出すと、障害のある作業者は混乱してしまいます。これを避けるため、誰の言うことを聞くべきか、命令系統をハッキリさせておくのがひとつ。また、仕事中の指示だけでなく、日頃の様子を見守ることで「いつもと様子が違う」「何か困ってるんじゃないか」……といったことを気づいてあげる、生活面のトラブルなども含めたサポートを行います。 一方で、様々なサポートを行うことは必要ですが、単に手厚いサポートをするだけでは、会社が疲弊してしまいます。福祉活動が会社の負担になるようでは、たとえば経営状況が苦しくなった時に、障害者を切り捨てるようなことになってしまいます。 そういうことにならないように、障害の度合いや適正をみて、その人にできる仕事を、障害の無い人と同等に任せられるように工夫することが大事です。 この、仕事を任せられるようになるためのサポートを、中間支援団体(エルチャレンジなど)との役割分担と協力によって実施していくわけです。 たとえば、障害の症状や度合いによっての適材適所、作業工程表の作成、道具や現場に目印をつける、など。こういった工夫は、障害者だけでなく、外国人を雇用する場合にも応用できます。 ・CSRではなく、企業努力をする ・価値観を押し付けない、誰も排除しない ・固定観念や偏見で判断せず、関係づくりを大事にする 支援者との共同作業 ・職務分析(作業工程の研究など) ・個々の適正に応じた課題分析 ・作業手順書・指示書 ・作業道具の改良(色分けなど) ・定期的なケース会議による改善 ・スキルアップに向けた支援 ・就労後の余暇活動支援 ・職場の安全面の配慮 ・オーナーの理解を求める 障害者雇用に続く挑戦として、ホームレスの雇用についてもお話がありました。 公園に住むホームレスのなかには、公園を、自らの住処として清掃している人もいます。これを清掃作業員として雇用すれば、ホームレスは減り、市民へのサービスにつながります。 ホームレスを雇用する場合にも、単に雇って住居が決まれば終わりではありません。ホームレス個人の抱える問題を、無くしていく努力が必要になります。個人の問題とは、たとえば、借金やアルコール中毒症などの、ホームレスをホームレスにしている原因のことで、これが解決できないと、ホームレスを脱したことになりません。 それには、障害者への支援と同様に、仕事と生活の両面でのサポートが大切です。 また、福祉施設での園芸福祉活動も行っています。 園芸福祉活動とは、園芸を通じた人同士の交流やリハビリを促進する活動で、ここでも専門のNPOと協力することで、プログラムの作成などをしています。 障害者の作業員を高齢者施設に配置した場合、施設オーナーの理解は得られても、高齢利用者によって拒絶されることがありました。しかし、この園芸福祉活動で障害者と高齢者が交流できる場を設けると、最初は拒絶を訴えていた高齢者も交流活動を通じて緩和され、回を重ねる毎に参加者も増えていったそうです。 同時に、高齢利用者が園芸活動で作業することには、五感を刺激される、最初は不安がっていた利用者の気持ちが安定してくる、参加することで社会性が養われる……といった効果もあり、これは、高齢者の地域活動支援センターでの就労訓練などにもつながっています。 こういった活動によって、株式会社美交工業は『2005年 大阪府 ハートフル企業大賞』を受賞するなど、社会的に評価され、社員のモチベーションもあがり、職業意識の向上にもつながりました。また、総合評価入札制度によって、大きな現場を受けられるようになりました。 福田氏のお話は「最初は社会のために始めたことが、いつの間にか会社のためになりました」という言葉で括られました。 参考: 大阪ビルメンテナンス協会 理事 株式会社美交工業 |
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講義4:企業紹介 TOTOメンテナンス株式会社 TOTOメンテナンス株式会社について、会社概要や事業内容についての紹介がありました。 主な業務はTOTO製品のアフターサービスで、点検・修理・整備や、交換部品の販売なども行っています。 点検業務については、製品が利用開始から年数の経っていない物であれば、修理やオーバーホールを行い、もしも販売から大幅に年数の経っている物であれば、修理対応だけでなく、買い替えの提案、それも利用者にとって、より適切な製品を選択して提案してくれるそうです。 講義では、点検料金や部品価格の概要紹介、修理の事例紹介もありました。 参考: TOTOメンテナンス株式会社 ※上記サイトの『アフターサポート』のページには、日常的メンテナンスやトラブルへの対処に役立つ情報や、手順解説、製品図面などが掲載されています。 |