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東京国際消防防災展2008

東京国際消防防災展2008

主催:東京消防庁
    株式会社東京ビッグサイト
    東京国際消防防災展2008実行委員会
会期:2008年6月5日~8日
会場:東京ビックサイト

 東京消防庁主催による、防災展示会が行われました。
 屋外や岸壁まで含めて、東京ビックサイトの西側をまるまる使った規模の大きなイベントです。
 全体の1/3程は、東京消防庁(と、米海軍消防隊)による展示で、残る2/3は企業の出展ですが、そのうち半数以上は消防車や救急車の装備や救難機材、つまりは救難業務の現場向け製品でした。
 要するに、製品や技術の発表会として見ると、あまり一般向けではなかったことになります。

 しかし、その分、一般来場者に向けては、東京消防庁による資機材展示や救難訓練展示が充実しており、日々の活動や訓練成果について、理解を深めてもらうためのイベントが数多く催されていました。
 主に屋外で行われていた、これら訓練展示や体験イベントを全て楽しもうと思ったら、それだけで丸1日かかってしまいそうです(順番待ちの時間も含めて、ですが)。

 もちろん、専門家向けの製品展示についても、おそらくそれを使用する機会もなければ購入することもないでしょうけれど、見聞きするだけで十分楽しめるものばかりでした。

左写真:屋外展示の様子
右写真:はしご車体験搭乗
 かなりの高さです。
 この他にも、定番の地震体験車や、消防車への乗車や放水を体験できるイベントが行われていました。
 が、これらに参加していたら展示を見る時間がなくなってしまうので、見送りました。

消火演習
 ビル火災を想定した、人命救助と消火の訓練展示です。
 ヘリコプターからの降下&吊り上げ救助をはじめ、あらゆる手段で消防隊員が火災現場に突入し、取り残された要救助者を脱出させます。最後に消防車からの一斉放水で鎮火するまでの流れを、展示しました。


水難救助
 釣り人が2名落水して、うち1名が水没……という想定で行われました。
 水面に浮いていた1名は水上スクーターに救助され、水没した1名(の人形)は、救助艇の潜水士が水中検索して収容、蘇生を試みつつ病院へと搬送していきます。




航空機火災消火
 こちらは米海軍の消防隊による訓練展示で、要救助者を救い出すため、炎上する航空機の内部へと突入するという想定です。
 特徴は、航空機を模した訓練機材を用いるところで、写真にもあるように、かなりの勢いで燃え盛り、見学位置でもジリジリと肌を焼かれているように感じるくらいでした。



株式会社ニチボウ
『スモークガード』

 既存のエレベータに設置することで、緊急時の備えとして求められる遮煙機能を付与することのできる製品です。

 ビル火災においては、ビルを上下に貫くエレベーターシャフトの空間が煙突の代わりとなり、気圧差や上昇気流によって熱い煙が上層へと駆け上がり、犠牲者を増やす大きな要因になるそうです。
 そこで、近年の制度改正では、エレベータ等には遮煙能力が求められるようになりました(参考:『特殊建築物等定期調査報告制度』での検索結果)。
 さすがに最近の製品ならば対応済みなのでしょうが、平成14年以前の製品を設置した建築物では、そのほとんどが『既存不適格』となるそうです。既存不適格であれば違法建築物にはなりませんが、そのままにしておくと、ビルそのものの評価や価値に影響することになりかねませんし、なにより、もしもの時には犠牲者を出すことになります。

 そこで、緊急時のみ作動するスクリーンによって、既存のエレベーターに手軽に遮煙能力を持たせようというのが『スモークガード』シリーズです。会場では遮煙機能付与のI 型が展示されていましたが、この他にも遮炎機能のあるII 型、さらに改良されたIII 型があります。

 いただいた資料によれば、I 型の施工例には羽田空港や東京駅構内などの有名施設が挙げられているのですが……実物を見ようにも平時には分かりませんね……。

 展示品のテスト動作を見せてもらいました。

左写真:待機状態。
 写真では煙探知器もセットになっていますが、実際の施工でエレベーターのドア直近に必要なのは(要するに、現状に付け足される出っ張りは)、スクリーンを収める収納部だけなので、そう大きくはありません。
中写真:煙探知器を反応させています。
右写真:作動中。
 煙を探知すると、収納部のドアが開き、スクリーンが回転しながら下りてきます。
 スクリーンの展開速度は、ストーンと落ちるようなものではなく、スルスルと滑り降りるような印象。

 スクリーンの両端はゴム磁石になっています。
 これがドア付近の金属部分に密着することで、遮煙機能を高めています(現状の壁面に磁石が付かない場合は、金属フレームの追加が必要)。このゴム部分を確実に密着させるために、スクリーンの展開速度も抑えめになっているのです。
 一方で、磁石は高温になると磁力を失ってしまいますが、これに対抗して、III 型では熱で変形する形状記憶合金を用いて、密着状態を継続するようになっているそうです。

 スクリーンが作動しているような状況では、エレベーターを使わないことが原則ですが、どうしてもエレベーターでの脱出が必要な場合は、スクリーン中ほどに設けられたボタンを押します。すると、スクリーンが一度巻き上がり、上まで行くと、また降りてくるので、その間に通り抜けることができます。
 また、ボタンを使わなくても、両端が磁石で吸着しているだけなので、捲りあげれば通ることができます。エレベーターの中から外に出る場合でも、押せばそのまま通過できます。
 この点は、シャッター式などの両端にレールを設けるタイプと大きく違う点で、シャッター式を開ける為には屈んで持ち上げる必要がありますが、カーテン式なら車椅子の人でも体力を必要としません。
 捲るだけでいいなら緊急用ボタンの存在価値は? と、いうと、捲って通るとスクリーンが歪んで、両端の磁石の密着度合いにも影響が出ますが、緊急用ボタンを用いれば、スクリーンが上から再展開するので、密着を保てるのです。

株式会社フォーレ・ディ
『ファイヤーウッドガード』

 吹きつけるだけで防火機能を付与することのできる、防火難燃剤です。
 木材だけでなく、紙や布など、ある程度の吸水性があって、吹きかけた薬品が表面に染み込むことができれば、たいていの物が対象となります。

 加熱によって素材そのものから生じる可燃性のガスと、空気中の酸素の結合を妨げることで、防火性能・難燃性能の付与を実現するそうです。また、薬品の成分によってシロアリが材木をかじっても消化できなくなるなど、防虫・防カビにも効果があるそうです。
『ファイヤーウッドガード』を染み込ませた新聞紙で、難燃性を示すデモンストレーションを見せてもらいました。

左写真
 ライターで軽く炙ったくらいでは火はつきません。また、ライターオイルをかけて点火すると、一瞬炎上するものの、オイルが燃えただけで新聞紙は何事も無く残りました。

下写真
 バーナーで炙ると、さすがに炙っている間は新聞紙が燃えて黒く炭化していきますが、炎を遠ざけると同時に鎮火して、燃え広がることはありませんでした。

 説明に『酸素の結合を妨げる』とあるとおり、とにかく燃えないというよりも、炎にならないという印象でした。

 炙り続ければ、もしくは炙り続けることができれば燃えてしまうのでしょうが、たとえ火の気があっても素材そのものが炎上しないので、部分的に焦げることがあっても、種火が消えればそこで延焼も止まります。

 特に木造建築を守るのに適した商品ですし、建物が大きくなると薬剤の量も膨大になりますから、なかなか鉄とコンクリートのビルとは縁がないかもしれません。
 その一方、身近なところでは、和室の障子などに吹きつけておけば、子供の火遊びなどから家を守ることができそうです。燃え易いゴミに軽く吹きかけておけば、放火の防止になるかもしれません。

株式会社モリタ
『消火フラワー』(注:リンク先では、ムービーが再生され、音が出ます)

 天ぷら鍋からの火災を想定した、消火製品です。
 写真を見ての通り、製品はチューリップを模していて、花の部分にアルカリ性薬剤の入ったビニール袋が隠れています。
 このアルカリ性薬品が熱くなった油と反応して、湯面で凝固、酸素を遮断することで鎮火します。
 茎には磁石がついているので、普段は冷蔵庫など身近な所にインテリア(と、いうには、ちょっとアレですが……)として飾っておけます。

 扱いは簡単で、火の出た鍋に花の部分を突っ込むだけです。長い柄(茎)がついているので、火元に近づくことも、投げ込んで油を飛び散らすこともありません。
 花は2本で一組になっているので、分けることなく、そのまま投入してください。

 当日は実演場所の近くで販売していたので、実演直後にはよく売れていたようです。
 しかし、これ見て飛びつくように買っちゃうてのは、鍋から火が出た時と同じくらい冷静さを欠いてるような気がしなくもなかったり……。


参考:東京国際消防防災展2008
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