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エコプロダクツ2005

エコプロダクツ2005

会期:2005年12月15日~17日
会場:東京ビックサイト
主催: 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
(社)産業環境管理協会
日本経済新聞社

省エネ、リサイクル、エコロジーといえば、エアコンの出力を下げて暑さ寒さに耐えたり、その根拠と効果に疑念を抱きつつゴミの分別に手間をかけたり、流通や生産などの実情・背景を考慮せず、単に使わないことがエコロジーであるかのように語られたり……と、我慢や忍耐を求められ、節約したうえ金がかかるイメージが先行していました(他にも公害を出し続けながら、緑化事業に金を出しているだけで『当社は地球環境との調和をはかります』などと言い張る企業も問題ですが、それは今回は置いとくとして)。

しかし、最近では「快適さとエコの両立」「我慢しなくてもいいエコ」を実現する、それと意識せずに継続できる商品が数多く開発されています。今年はクールビズなんて考え方も出てきましたが、こういった「ちょっとした工夫」や、ある程度の忍耐は大切ですが、なにより継続できなければ効果を得られません。

この『エコプロダクツ2005』では、補助発電装置や建物内の電圧を調整して消費を抑える装置、プラスティックの代わりになる植物原料素材、ダンボールに貼り付けたまま捨てられるガムテープ、そういった様々な新商品が展示されていました。
大手企業の出展も数多くありましたが、そちらは開発商品よりも、自社の生産や流通における環境配慮の工夫について紹介しているところが多かったようです。

また、商取引要素の強い他の展示会と違って、ガイドが案内してくれる会場見学ツアーがあったり、学校で参加しているらしき子供たちが見学していたり……と、一般への学習や啓蒙の要素がありました。その分、企業の展示も、クイズや景品を用意するなど、遊び感覚を取り入れたものになっていました。ただ、そういった開かれたイベントでありながら、会期に日曜日が含まれていないことに、ちょっと疑問を抱きました。

遮熱塗料各種

今回、大小様々な展示がある中から、紹介内容に「建築後でも簡単に導入できそうな品」を念頭において見学していたところ、なんとなく遮熱効果や断熱効果のある塗料が集中してしましました。
それぞれ、ある種の光を遮断したり反射することで、熱の蓄積と、それに伴う熱放射を防ぐ……といった効果を発揮します。
熱放射を防いで室内温度の上昇を抑えることで、特に夏場のエアコン出力を下げることができるようになります。もちろんエアコンの出力を下げる以前に室温が抑えられているのですから、なんら我慢する必要はありません。紫外線遮断ガラスなどと併用すれば、さらに効果的です。
こういった工夫により、ビル単位でエアコン出力を最適化することができれば、その経費削減効果はかなりの金額になります。

今回、たまたま複数の商品を紹介することになりましたが、ここで商品の比較をすることは本分ではありませんし、その良し悪しを判断することもできません。導入には各企業の資料を詳しく検討して、ご自身で最適な商品を決定してください。とはいえ、それぞれ特性がありますから、単一商品ではなく適材適所で用いるのが最良かと思います。
日立化成工材株式会社

『ハイスター遮太郎』
太陽光を効率よく反射する塗料で、屋根に塗布しておけば室温の上昇を防ぐことができます。また、水系塗料なので揮発性有機化合物が極めて少なく、引火の危険もないので塗装作業が安全に行えます。

(右)一般的塗料と『遮太郎』を塗布した模型によるデモンストレーションで、どちらも模型内に温度計が設置されています。一般塗料を塗布した左側は60.9℃あるのに対して、『遮太郎』を用いた右側は45.9℃に抑えられています。
『ハイスター断平』
こちらは断熱効果のある塗料です。断熱効果があるということは熱伝導率が低いということで、『断平』の熱伝導率は木材のそれと同等だそうです。厚塗りすることで、さらに断熱効果を高めることができます。
壁や天井に塗布することで、室内外の熱交換を妨げ、夏は暑い外気の浸入を妨げ、冬は暖房による温熱が屋外に逃げることを妨げます。

(右)模型内部に熱源を設け、温度計を遮蔽版の上に設けたデモンストレーションです。一般塗料の左側は54.6℃、『断平』の右側は45.3℃を示しています。
ミラクール販売株式会社

『ミラクール』
こちらも塗布することで表面温度の上昇を防ぐことのできる遮熱塗料です。
特徴は、主に赤外線を反射するようになっているので、可視光域の自由度が高く、カラーバリエーションが多彩なことです。なかには「マットブラック」などという、およそ光を反射するには向かない色まで。

(下)写真では読みづらい温度計の数値は、左の一般的塗料が56.2℃、右の『ミラクール』塗布面が41.3℃になっています。

(上)『ミラクール』のバリエーションで、競技場用遮熱塗料『フィルクール』のデモンストレーション。数値は、左の一般トップコート面が64.4℃、右の『フィルクール』塗布面が47.2℃になっています。
陸上競技場のような面積の広い場所に用いれば、夏場の体感温度はかなり違うのではないでしょうか?
株式会社アクアシステム

『断熱くん』
塗布することで断熱材の代わりになる塗料です。断熱の他に、ある程度の防音(厚塗りする)や防露の効果も発揮されます。
この『断熱くん』を用いた、外壁が厚さ数ミリの鉄板のみという建築物も建てられているそうです。夏は熱く、冬は冷たくなってしまう鉄板でも、内外に『断熱くん』を塗布して断熱効果を得れば、室温は快適に保たれるわけです。これらはテレビで紹介されたこともあるそうなので、ご覧になった方もいらっしゃるでしょう。

(下)会場でのデモンストレーションの様子。
電球で熱した場合、一般的塗料を塗った鉄板は触れないほど熱くなりますが、『断熱くん』を塗った鉄板は触っても暖かい程度(もちろん触るのは熱した面とは反対側です)。逆に冷やした場合、冷えきった鉄板でも『断熱くん』を塗った面なら、ヒヤリとしている程度に感じます。

東芝テックビジネスソリューション株式会社 『e-blue』

 オンラインで入手できる資料や説明書など、モニタを眺めているだけでは、どうしても頭に入らず、結局印刷した……ということはありませんか? また、文章を作成したとき、モニタ上で何度も推敲したにもかかわらず、印刷してから読みなおしてみると、それまで気が付かなかった誤字・脱字に気づくことはありませんか?
印刷せずにパソコンのモニタ上で読めば紙を節約できます。
……とはいうものの、文章量が多くなると紙に印刷した方が扱いやすいものです。それに印刷物のレイアウトなどは、やはり実際に印刷してみなければ判らない問題があるものです。これは節約意識の有無に関係なく、印刷することで得られる大きなメリットがあるということなのです。

この『e-bule』は、コピーやプリンタなどの複合印刷機に用いるトナーです。熱を加えることでインクが消えるので、同じプリント用紙を何度でも繰り返して使えます。印刷できる色はブルーのみですが、一時的な資料の印刷や、試し刷りには十分でしょう。
使用後は専用の消去装置にかければ、A4サイズで400枚を一度に消去できます。また、この消去装置にかけることで、印字を消去するついでに用紙をプレスして状態を整え、印刷機の紙詰まり予防にもなります。
 サンプル展示の様子(左写真)。
このようにアイロン程度の熱でインクを消去できます。実際には消去装置を使った方が、手間もかからず均一に消去できますし、プリント用紙のコンディションも保てるでしょう。

正確には、熱によるインクの消去というより、インクに含まれる色素の無色化なので、紙の表面にはインクの含有成分が残ることになります。そのため、消去した印字の跡が光の加減などで見えることがあります。
同じ用紙を繰り返し使っているうちに、この印字跡が重なりあって煩くなることがあるかもしれません。しかし、一方でインクが消えるといっても、同じプリント用紙が永遠に使えるわけではありません。印字跡が煩わしくなるよりも先に、プリント用紙のコンディションが限界を迎えるでしょうから、問題にならないでしょう。
ここでいうプリント用紙のコンディションとは、折れや破れなど印刷機で使用するに支障ない状態であることを意味します。さすがに加熱冷却しながら何度も繰り返し使えば、紙もくたびれてくるのです。

左写真は、消えるインクのボールペンとマーカー(ペンは東芝の技術協力によるゼブラ製)。
文字校正したりメモ書きを加えたいときには、この専用ペンを用いれば『e-blue』による印字と共に消去することができます。

 最後に、ちょっと身近とはいえないのですが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の展示を紹介します。
ある意味熱心なエコ推進主義者の人は、何かといえば「宇宙開発なんかする金があるなら……」とか言いがちですが、そもそも宇宙からの視点を得られなければ地球の環境変化を観測することもできないし、地球規模での長期的な削減目標なども立てられません。宇宙開発とエコは無縁ではないどころか、密接に関係しているわけで、今回のイベントでJAXAの技術紹介コーナーがあるのも当然なのです。

ここで紹介するのは、そんなJAXAの展示品のひとつ『太陽光発電』です。それも、単にソーラーパネルで発電するだけではなく、発電衛星を軌道上に置いて、発生した電力をマイクロウェーブにして地上に送る……というものです。その考えじたいは、それほど新しいものではありませんが、実用に向けて研究が進んでいるのを見ると感慨深いものがあります。
とはいえ、発電衛星の規模はそれなりに大きく、複数の打ち上げと軌道上での組み立てが必要になるので、ここでも夢の実現には予算が最大の障壁になりそうです。

写真は太陽光発電のイメージモデルです。上には太陽に見立てた光源と発電パネル。下には海上の受信施設と、観覧車の模型がありました。この上下間は電線などで接続されることなく、それでも発電パネルで生まれた電力によって、観覧車が回っていました。


参考:
エコプロダクツ2005
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