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吸引力の低下しない掃除機はない

ビルメンテナンス情報
『吸引力の低下しない掃除機はない』

著 木村光成 先生

「吸引力の低下しないただ1つの掃除機は」というコマーシャルが流れている。ところが、吸引力の低下し難い掃除機はあるが、吸引力の全く低下しない掃除機は無い。
 掃除機とは、写真のようなバキュームモーターによって強力な空気の流れを作りだし、吸い込み口からダストを吸い込む働きをする機械である。しかし、そのままではダストは再び吐き出し口から外に吐き出されてしまうため、空気からダストをより分けるフイルターが必要になる。フィルターにダストが引っかかり、空気だけが排出される。
フイルターとは一種の網である。多少に関わらず空気の流れをせき止める働きがある。空気の流れをせき止めるということは、吸引力を低下させることでもある。このフイルターは目が細かいほど、せき止める力が大きい。目が粗いと細かいダストは素通りしてしまう。最近ではヘパフィルター、ウルパフィルターなどの、ウイルスまで捕らえられる目の細かいフィルターもある。

少しでもフィルターの詰まりを少なくするために、粗いフィルターを二重、三重にするよりも、細かいフィルターを配置する形式が増えている。また、遠心分離機の原理で、フイルター無しで分離する形式も増えている。しかしこの場合でも、少なくとも1枚はフィルターが必要である。遠心分離法だけでは、細かいダストを分離しきれないからである。と、いうことは、フィルターの無い掃除機は無いということになる。フィルターがある限り、ダストによるフィルターの目詰まりも避けられない。消費者からメーカーに対する「ゴミを吸引しない」というクレームの最大の原因は、ゴミを取りださなかった事例が多いといわれている。
フィルターが無い、全くの素通りの掃除機ならば「吸引力の低下しない掃除機」といえる。これなら永遠に吸引力は低下しないが、ダストも取り去られない。ダストが取れないということは掃除機ではないということになる。つまり、吸引力の低下し難い掃除機はあるが、吸引力の低下しない掃除機は存在しないのである。

吸引力を低下させない条件は、掃除機の手入れ、すなわちフィルタの清掃や交換である。掃除機の吸引力性能管理である。この点、ビルメン業界では、吸引力測定器による性能管理が一部の業者が行われているだけである。
最近、病院などでは、ますます細かいダストを捕捉するウルパフィルターが使用される傾向にある。そして、掃除機の性能評価法も、モーターの性能の強さではなく、ダストの回収率で評価する欧州規格が取りいれられ、その上、最近話題の電気用品安全法の適応も行われ、掃除機の世界も大きく変化している。
次は掃除機の性能管理技術と使用技術に光が当たる順番であろう。いかに高性能の掃除機でも、管理法や使用法が悪いと意味を成さない。


写真:
病院で採用されている集中配管方式で、床にある差込口に掃除機のホースを差し込めばバキュームになる方式である。モーターは無いため、騒音や排気によるダストの吹き上げもない。病院や養護施設などでは、衛生的に理想のシステムといえる。しかしホースの長さが長くなるのはやむを得ない。

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