ヒールによるミッドタウン木床クレーム
ビルメンテナンス情報
ヒールによるミッドタウン木床クレーム
著 木村光成 さん
1:ミッドタウンの木床クレーム
東京で最先端のミッドタウンで、フローリングに大な問題が起きた。
このビルのテーマは”竹”である。そこで、床材にウレタン塗装の中国産竹材フローリングが大量に使用されている。
これにピンヒールの跡が全面についた。場所柄、多くの人目に触れていて、メンテ関係者の間では話題になった。
横浜のスカイビルでインドネシア紫檀についたヒール跡では、ワックスの厚みと硬さが問題であったが、ミッドタウンの場合は2~3mmのへこみが見られ、下の竹材まで影響しているように見える。推測ではあるが、竹は木と異なり、割れやすい性質があり、これが原因と思われる。
このような、床材そのものが影響を受ける事例は、今までほとんどない。
ヒールの傷の問題は、全国の公共施設のフローリングで起きている。原因は、今流行の社交ダンスである。そこで、金具の傷を防ぐために、ヒールカバーをつけさせている施設が多い。
もうひとつの原因は、ピンヒールの圧力の強さである。体重50kgとすると、1㎝平方に50kgが掛る。ヒールの金具での傷付きはかなりあるが、この場合、金具の傷とは異なる。
しかし、木自体のへこみは起きていない。木床は最も古い床材であるが、通常、油性ワックスで管理されてきた。ウレタンなどの塗装は最近の話である。
ミッドタウンは、現在すべて修復されている。
外見では樹脂を充填して研ぎだしたと考えられるが、手間のかかる作業であったと思われる。
竹材フローリングの使用例は他にもあり、今後注意の必要がある。
2:床にかかる圧力考
ピンヒ-ルには、センチあたり50kgの圧がかかる。
ポリッシャーなども床に圧力がかかる。この圧力をパット圧、ブラシ圧などと呼び、洗浄力の目安になる。
今回の問題を機会に、この問題を再考してみたい。
この表で見る限り、ポリッシャーの洗浄力は、床洗浄機より僅かに優れているように見える。
ところがポリッシャーは、写真のように部分的にパット圧をあげられる。この場合、約15倍の圧力がかけられる。その他に、汚れた部分だけを洗浄できるという利点があり、これらの利点があるためポリッシャーの方が、はるかに洗浄力の高い、効率のよい機械であることがわかる。
ところが、これよりもよく落ちる方法は、手洗いである。この場合、部分的にパット圧はセンチ当たり5kgを超える。大形の自動床洗浄機の弱ブラシ圧では、センチ当たり0.05kgにすぎない。
また、弱い圧で2回洗浄するのと、その2倍の圧で1回洗浄するのは同じではない。自動床洗浄機のカタログ表記の魔術が、ここにある。
ヒールの”センチ当たり50kg”がどの程度の圧力か、おわかりいただけるだろうか。
ヒールによるミッドタウン木床クレーム
著 木村光成 さん
1:ミッドタウンの木床クレーム
東京で最先端のミッドタウンで、フローリングに大な問題が起きた。
このビルのテーマは”竹”である。そこで、床材にウレタン塗装の中国産竹材フローリングが大量に使用されている。
これにピンヒールの跡が全面についた。場所柄、多くの人目に触れていて、メンテ関係者の間では話題になった。
横浜のスカイビルでインドネシア紫檀についたヒール跡では、ワックスの厚みと硬さが問題であったが、ミッドタウンの場合は2~3mmのへこみが見られ、下の竹材まで影響しているように見える。推測ではあるが、竹は木と異なり、割れやすい性質があり、これが原因と思われる。
このような、床材そのものが影響を受ける事例は、今までほとんどない。
ヒールの傷の問題は、全国の公共施設のフローリングで起きている。原因は、今流行の社交ダンスである。そこで、金具の傷を防ぐために、ヒールカバーをつけさせている施設が多い。
もうひとつの原因は、ピンヒールの圧力の強さである。体重50kgとすると、1㎝平方に50kgが掛る。ヒールの金具での傷付きはかなりあるが、この場合、金具の傷とは異なる。
しかし、木自体のへこみは起きていない。木床は最も古い床材であるが、通常、油性ワックスで管理されてきた。ウレタンなどの塗装は最近の話である。
ミッドタウンは、現在すべて修復されている。
外見では樹脂を充填して研ぎだしたと考えられるが、手間のかかる作業であったと思われる。
竹材フローリングの使用例は他にもあり、今後注意の必要がある。
2:床にかかる圧力考
ピンヒ-ルには、センチあたり50kgの圧がかかる。
ポリッシャーなども床に圧力がかかる。この圧力をパット圧、ブラシ圧などと呼び、洗浄力の目安になる。
今回の問題を機会に、この問題を再考してみたい。
清掃機械の圧力 | ||
機種 | パッド圧 | センチあたり圧 |
14インチポリッシャータンク付き | 58kg | タンク洗剤いり 0.189kg |
17インチ自動床洗浄機 | 弱 20kg 中 32kg 強 46kg | 強の場合 0.102kg |
この表で見る限り、ポリッシャーの洗浄力は、床洗浄機より僅かに優れているように見える。
ところがポリッシャーは、写真のように部分的にパット圧をあげられる。この場合、約15倍の圧力がかけられる。その他に、汚れた部分だけを洗浄できるという利点があり、これらの利点があるためポリッシャーの方が、はるかに洗浄力の高い、効率のよい機械であることがわかる。
ところが、これよりもよく落ちる方法は、手洗いである。この場合、部分的にパット圧はセンチ当たり5kgを超える。大形の自動床洗浄機の弱ブラシ圧では、センチ当たり0.05kgにすぎない。
また、弱い圧で2回洗浄するのと、その2倍の圧で1回洗浄するのは同じではない。自動床洗浄機のカタログ表記の魔術が、ここにある。
ヒールの”センチ当たり50kg”がどの程度の圧力か、おわかりいただけるだろうか。