フローリングクレーム一覧表
ビルメンテナンス情報
フローリングクレーム一覧表
著 木村光成 先生
フローリングはメンテナンス不要であった。
ほとんどの床材で耐水性の強い接着剤が使用され、無垢材の場合は、現場でウレタン、エポキシ、ポリエステルなどで目地まで十分シールされていた。
そこでビニールタイルや塗り床と同様に、ワックスの塗布と剥離を繰り返し、10年程度でサンデングを行い、再塗布をおこなう。
この繰り返しで十分だった。
ところがハウスシック問題が起きて、塗料と接着剤が槍玉に上がるようになった。
無塗装・無接着剤が流行し、さらに塗料も水性が主流になった。代わりに耐水性・対洗剤性が低下し、従来のメンテではクレームが多発するようになり、フロアーポリッシュ工業会ではフロリング関係協会とともに引き渡し時のクレーム防止を指導した。
このような状態にありながら、協会テキストにはフローリングの系統的メンテの記載はない。
そこで、一年かけてビルクリーニング誌にフローリングの要点をまとめた。木床のメンテナンス技術考である。そしてクレームの危険を防ぐ目的で『フローリングクレーム一覧表』を作成した。
この表が、石材、カーぺット、ビニールタイルのクレーム表と異なる点は、クレームの危険を無くし、よりリーズナブルな価格でメンテを行うための提案を、はじめに例示している点である。
以下にしみ汚れのクレームを列記する。
しみ汚れが問題になるのは無垢材の特に白木である。桐、桧などは汚れが付きやすく目立ちやすい。また、チークなどの濃色物は染色されている場合が多く、しみぬき剤も技法も場合ごとに異なる。そのため種類のみを列記する。
マジック、クレヨン、鉛筆、ボールペン、コーヒー、コーラ、醤油、ソース、
酒、ビール、口紅、ファンデーション、毛染め、血液、ヨードチンキ、イソジン、
カレー、鉄さび、銅さび、テープあと、茶、墨汁
フローリングクレーム一覧表
著 木村光成 先生
フローリングはメンテナンス不要であった。
ほとんどの床材で耐水性の強い接着剤が使用され、無垢材の場合は、現場でウレタン、エポキシ、ポリエステルなどで目地まで十分シールされていた。
そこでビニールタイルや塗り床と同様に、ワックスの塗布と剥離を繰り返し、10年程度でサンデングを行い、再塗布をおこなう。
この繰り返しで十分だった。
ところがハウスシック問題が起きて、塗料と接着剤が槍玉に上がるようになった。
無塗装・無接着剤が流行し、さらに塗料も水性が主流になった。代わりに耐水性・対洗剤性が低下し、従来のメンテではクレームが多発するようになり、フロアーポリッシュ工業会ではフロリング関係協会とともに引き渡し時のクレーム防止を指導した。
このような状態にありながら、協会テキストにはフローリングの系統的メンテの記載はない。
そこで、一年かけてビルクリーニング誌にフローリングの要点をまとめた。木床のメンテナンス技術考である。そしてクレームの危険を防ぐ目的で『フローリングクレーム一覧表』を作成した。
この表が、石材、カーぺット、ビニールタイルのクレーム表と異なる点は、クレームの危険を無くし、よりリーズナブルな価格でメンテを行うための提案を、はじめに例示している点である。
フローリングクレーム一覧表 |
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原因による提案分類事例 F:フローリングへの提案 例1 ノンソル塗装の実施、継ぎ目のシール D:洗剤、ワックスへの提案 例1 高価であるが高性能の製品の使用 例2 ワックスによる2層管理 例3 作業時間が増える中性剥離剤の使用 W:作業法への提案 例1 作業時間のかかる分割洗浄 例2 乾燥時間を通常の二倍とる M:清掃機械への提案 例1 ウエットバキュームの導入 |
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クレーム名 | 現象 または注記 | 考えられる原因 | 複合 | 単層 | 提案分類 |
たてぞり | 縦方向の変形 | 無塗装水濡れ | ○ | F、W、D | |
突き上げ 暴れ |
床面全体の変形の表現 | 無塗装水濡れ | ○ | F、W | |
はばぞり | 横方向の変形 | 無塗装水濡れ | ○ | F、W | |
波うち | 洗濯板状の変形 なら、ユーカリ |
無塗装水濡れ | ○ | F、W | |
ねじれ | 複合変形 けやき、松 |
無塗装水濡れ | ○ | F、W | |
われ | 針葉樹全般 | ○ | F、W | ||
鳴き 床なり |
歩くと音がする | 無塗装水濡れ | ○ | ○ | F、W |
膨れ | 最も多い オーナーが気づかない |
無塗装水濡れ | ○ | ○ | F、D |
変色(黒) | タンニン | アルカリ洗剤 | ○ | D、W | |
変色(黄色) | リグニン | アルカリ洗剤 | ○ | D、W | |
クレーム名 | 現象 または注記 | 考えられる原因 | 複合 | 単層 | 提案分類 |
変色(色落ち) | 着色もの、紫檀など | 含溶剤洗剤 | ○ | D | |
塗膜破壊 | 剥離剤 | ○ | ○ | D、W | |
塗膜の削れ | オーナー指摘が多い | パットによる削れ | ○ | ○ | F、W |
表層の削れ | 突き板の削れ | パット、メッシュパット | ○ | ○ | W |
はがれ | 合板 | 濡れ | ○ | F、W | |
ささくれ | 無垢材、張り | 使用条件、材種 | ○ | ○ | F、W |
下地の露出 | 印刷もの | ||||
掘れ | メッシュパット などによる凹凸、 針葉樹の軟部の凹み (ブラシ) |
使用条件、作業法 | ○ | ○ | F、W |
ヤニのにじみ | 無垢材、松 | ヤニ止め | ○ | F | |
密着不良 | 現在の保護材の除去 ワックスの選択 |
作業法 | ○ | ○ | D、W |
クレーム名 | 現象 または注記 | 考えられる原因 | 複合 | 単層 | 提案分類 |
つなぎ目の白化 | 割れめへのワックス | つなぎ目のシール作業 | ○ | ○ | F、W |
養生不良 | 布壁などの汚損 | しみ抜き作業 | ○ | ○ | D、W |
養生テープの のり残り |
作業量の多い場合あり | しみ抜き作業 | ○ | ○ | |
ワックスの堆積 | 変色 | 作業法、 剥離間隔を短く |
○ | ○ | D、W |
ヒールあと | 柔らかいワックスの堆積 | 作業法、 剥離間隔を短く |
○ | ○ | D、W |
家具あとの凹み 引きずり傷 |
作業法、補修 | ○ | ○ | F | |
木の臭い | ※ 松の木粉がアトピーの 原因の場合があり 桧の香りが問題の場合も |
シール | ○ | F、D | |
塗装のひびわれ |
以下にしみ汚れのクレームを列記する。
しみ汚れが問題になるのは無垢材の特に白木である。桐、桧などは汚れが付きやすく目立ちやすい。また、チークなどの濃色物は染色されている場合が多く、しみぬき剤も技法も場合ごとに異なる。そのため種類のみを列記する。
マジック、クレヨン、鉛筆、ボールペン、コーヒー、コーラ、醤油、ソース、
酒、ビール、口紅、ファンデーション、毛染め、血液、ヨードチンキ、イソジン、
カレー、鉄さび、銅さび、テープあと、茶、墨汁