'08ジャパンテックスのビルメンからの評価
ビルメンテナンス情報
'08ジャパンテックスのビルメンからの評価
著 木村光成 さん
本年の傾向
第27回ジャパンテックスが、11月19日から開催された。
メンテナンスの立場から、カーペット展示会を見続けてきて40年。今回は熱気が感じられなかった。どこのブースでも不景気の話と先行きの見えない話ばかりである。ここ1~2年、画期的新商品は見当たらない。色調の面でも、モノトーンを脱却できない。
その淀んだ空気のなか、明るい色のブースが新鮮に見える。その中で目立つのが外国勢である。円高の影響とも考えられる。
※底いたり
東リのカーペットの名称である。
ここ数年は激烈なデザイン競争が行われているが、その中で生まれたのが『底いたり』である。
底いたりとは、徳川時代の化政期に幕府の贅沢禁止令に対して、「一見地味であるが内実は豪華」を意味する用語である。表に木綿を使い裏に絹を用いたり、足袋のこはぜに金を使うなどの趣向を凝らした。
『底いたり』も、一見地味で上品でも、中に金銀糸を使うなどの高級品であり、高級マンションやホテルでの使用が見かけられる。
今後、ハウスクリーニングでの使用が増えることも予想され、メンテマニュアルの作成が急がれる。
右写真は『底いたり』であるが、写真では特徴がまったく表現できない。
'08ジャパンテックスのビルメンからの評価
著 木村光成 さん
本年の傾向
第27回ジャパンテックスが、11月19日から開催された。
メンテナンスの立場から、カーペット展示会を見続けてきて40年。今回は熱気が感じられなかった。どこのブースでも不景気の話と先行きの見えない話ばかりである。ここ1~2年、画期的新商品は見当たらない。色調の面でも、モノトーンを脱却できない。
その淀んだ空気のなか、明るい色のブースが新鮮に見える。その中で目立つのが外国勢である。円高の影響とも考えられる。
1)段通のハウスクリーニングでのクレーム増 特に、数年来目立つのがペルシャ段通などの高級ものである。個人には金があることの証明でもあろう。ハウスクリーニングから見ても、高級マンションでは、大理石暖房とペルシャの中敷きがステイタスである。 絹段通のメンナンスがかなり多い。しかし、使用されている段通の中には品質の悪いものもあり、ことに観光土産には注意が必要である。とくに色落ちクレームが多い。 現在、ハウスクリーニングで忙しいのが『段通の手洗い補修』と『孤独死』の両極端の仕事と言える。 現在、ハウスクリーニングで行われている段通の現場洗浄は3種類あるが、絹とウールを完全に分けて作業すること、また、石鹸はアルカリであることを留意する必要がある。 段通の所有者は、品物の知識が必要以上に豊富である。作業者も知識が必要であるが、これを持たないことがクレームの原因であることが多い。 2)モノトーンハイロウの注意点 カーペットの傾向は、デザインの模索と機能化による差別化であるが、モノトーンのハイロウが主力であることは、ここ数年変わらない。 その中で、高級化を狙った底いたり(※)と機能カーペット(ダスコンカーッペット)のデサイン化、メルトタイプカーペットの東リ3製品は注目商品であるが、早急なメンテマニュアルの構築が必要である。 デザイン追及のモノトーン、ハイロウが引き続き主力であるが、以前のレベルものと比較して、メンテは難しい。その理由はレベルに比べてダストピックアップ率の低さである。 ビルメン業界では、電気安全法を外すため、消費電力を実際より大きく記載しているものがあり、実性能の良い機種を選ぶことが、よいメンテを行う基本と言える。特にダスコン用カーペットとテクニカルエンボスものは高性能のバキュームが要求される。 3)カーペット資格販売の再登場 1980年頃、アメリカのカーペット資格販売とカーペット再染色が展示会に登場した。日本ティーポールの松崎氏が立ち上げた日本クリーンサービス連盟であり、世界共通カーペットメンテナンス資格の販売を行った。 この組織は自然消滅したが、本年、新たに20年ぶりにカーペットアカデミーという、カーペット世界共通システム認定の新組織が出店している。やはり先の見えない時代の象徴とも思われる。 |
※底いたり
東リのカーペットの名称である。
ここ数年は激烈なデザイン競争が行われているが、その中で生まれたのが『底いたり』である。
底いたりとは、徳川時代の化政期に幕府の贅沢禁止令に対して、「一見地味であるが内実は豪華」を意味する用語である。表に木綿を使い裏に絹を用いたり、足袋のこはぜに金を使うなどの趣向を凝らした。
『底いたり』も、一見地味で上品でも、中に金銀糸を使うなどの高級品であり、高級マンションやホテルでの使用が見かけられる。
今後、ハウスクリーニングでの使用が増えることも予想され、メンテマニュアルの作成が急がれる。
右写真は『底いたり』であるが、写真では特徴がまったく表現できない。