カーペットメンテナンスの原点、オリエンタルカーぺット
ビルメンテナンス情報
カーペットメンテナンスの原点、オリエンタルカーぺット
著 木村光成 先生
山形にオリエンタルカーペットというカーペットメーカーがある。
このメーカーの見学に、ビルメン業者はぜひ行っておく必要があることを、20年前から提案している。
この会社は、手織り段通とフックドラグを製造している。カーぺットの洗浄を行っているカーペットメーカー2社のうちの1社であり、特に、ここは新品を洗浄するマーセライズ加工で有名である。この加工を行うと、カーペットが絹のような光沢と肌合いが得られる。
ここが行っている定期清掃は、究極の定期清掃であろう。アメリカ流のシステムでは考えられない、ヨーロッパ流のマイスターの技術である。今後は大量消費から、良い製品を長く使うための技術が求められる傾向にある。
筆者も過去にホテルオークラのカーぺット洗浄で、汚れたカーぺットが新品以上になる例を見ている。まさに、良いカーぺットは、洗えば洗うほど品質が向上するといわれるゆえんである。
同社は中国から職人を招き、山形の地に手織り段通の技術を根付かせた。戦艦大和と武蔵の艦長室にも使用され、バチカンにも納入されている。このメーカーの技術はカーぺット洗浄業者の垂涎の的であろう。もちろんノウハウは教えてくれるわけはない。
以下この会社の内容一端を写真で示す。
この工場を見学すると、カーぺットメンテナンスはいかに判別技術、洗剤の配合判別技術、染料の配合知識などの、基本技術の積み重ねであるかということを強く感じる。
ただし、知識を持たないで見学しても何も得られない。
アメリカのシステム販売業者が日本のカーぺット技術は40年遅れていると述べているが、決してそのようなことはない。カーぺットの染色補修技術は1、2年で取得できるものではない。
同社の洗浄技術や、最近ロシアのエリミタージュ博物館で発見された明治時代の川島織物のタペストリーなどの技術は、良い製品を永く使う方向に向かいつつあるビルメンテナンスの今後に、必要な技術を含んでいる。
カーペットメンテナンスの原点、オリエンタルカーぺット
著 木村光成 先生
山形にオリエンタルカーペットというカーペットメーカーがある。
このメーカーの見学に、ビルメン業者はぜひ行っておく必要があることを、20年前から提案している。
この会社は、手織り段通とフックドラグを製造している。カーぺットの洗浄を行っているカーペットメーカー2社のうちの1社であり、特に、ここは新品を洗浄するマーセライズ加工で有名である。この加工を行うと、カーペットが絹のような光沢と肌合いが得られる。
ここが行っている定期清掃は、究極の定期清掃であろう。アメリカ流のシステムでは考えられない、ヨーロッパ流のマイスターの技術である。今後は大量消費から、良い製品を長く使うための技術が求められる傾向にある。
筆者も過去にホテルオークラのカーぺット洗浄で、汚れたカーぺットが新品以上になる例を見ている。まさに、良いカーぺットは、洗えば洗うほど品質が向上するといわれるゆえんである。
同社は中国から職人を招き、山形の地に手織り段通の技術を根付かせた。戦艦大和と武蔵の艦長室にも使用され、バチカンにも納入されている。このメーカーの技術はカーぺット洗浄業者の垂涎の的であろう。もちろんノウハウは教えてくれるわけはない。
以下この会社の内容一端を写真で示す。
写真1: 手織り段通は、糸を1本づつ結びつけてゆく。ペルシャと中国では結び方に違いがある。 段通には絹とウールがあるが、ここではウールが多い。もちろん絹物は桁違いに価格が高い。しかし絹製品は厚みがないため、安物と考え、アルカリ前処理剤による弁償問題も起きている。アルカリによる段通の色泣きは補修不能である。必ず繊維カットによるテストを行う習慣が必要である。 |
写真2: これは締め込みである。糸を緩みのないように堅くつめてゆく。この音が工場内に響いている。十分に締められたカーぺっトは、濡らしても縮みはおきない。 |
写真3: カーぺット表面の毛をカットするのをカーリング、模様の周辺をカットして浮き出させる作業をカービングと呼ぶ。 ウイルトン、アキスミンスターなどのカーぺットの定期洗浄後、表面を現場で再カットすると、模様の浮き出しが新品に近くなる。 これを行える業者は、専門業者のごく一部である。写真はフックの製作中のカービング作業である。 |
写真4: 検品バキューム後のカーぺットを、幅20メーター近いタンブラーに漬け込む。この作業で土砂が落とされる。もちろん洗浄液は品物により変える。 |
写真5: プールにカーペットを広げ、ポリッシャーで洗浄する。通常の水洗い工程を2回行うと考えて良い。場合によっては、艶出し加工、マーセライズ加工も可能である。乾燥しみ抜き、染色補正、カットを経て洗浄工程が終わる。 この工程を行うには、カーぺットの判別のうち、対洗浄性の見極めと、万一の場合の修復技術を持つことである。これがあればクレームは怖くない。修復できればクレームではない。 同社の強みは染色設備である。染色設備は製造、洗浄以上に重要である。 |
写真6: 染色堅牢度試験機。 |
写真7: テスト染めを行う設備である。 染色技術は100年近い歴史がある。もちろん染色工場も付属している。 |
この工場を見学すると、カーぺットメンテナンスはいかに判別技術、洗剤の配合判別技術、染料の配合知識などの、基本技術の積み重ねであるかということを強く感じる。
ただし、知識を持たないで見学しても何も得られない。
アメリカのシステム販売業者が日本のカーぺット技術は40年遅れていると述べているが、決してそのようなことはない。カーぺットの染色補修技術は1、2年で取得できるものではない。
同社の洗浄技術や、最近ロシアのエリミタージュ博物館で発見された明治時代の川島織物のタペストリーなどの技術は、良い製品を永く使う方向に向かいつつあるビルメンテナンスの今後に、必要な技術を含んでいる。