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カーペットの吸い上げ(ウィックアップ)

ビルメンテナンス情報
『カーペットの吸い上げ(ウィックアップ)』

著 木村光成 先生

質問
カーペットのクリーニングに関してなんですが、長年清掃をしてない現場で、アップライトで吸って、そのあと洗剤を噴霧、カーペットブラシでブラッシング。エクストラクターを使用したら、汚れが浮きでてきました。
こういう場合どうしたらいいのでしょうか?

回答
カーペットといいましても、さまざまな素材があり、一概に「こうしたほうがいい」と一言で言えないのが実情です。
「クリーンクルーのステップアップ テキスト」や「基本ビルクリーニング教本」などに、カーペット床メンテについて詳しく掲載しておりますので、ご参考にされてはいかがでしょうか。


このような質問と回答がネットに公開されている。
ところがカーぺットについての系統的なクレーム対応法について、ビルメン関係の参考書にはほとんど記載されていない。
この回答では解決できない。その理由は、ビルメン業界の建前ではクレームは存在しないことになっているからである。特にインスペクションとISOが行われてからは、クレーム対応は日陰の身になっている。
この種のクレームは50年前から起きている代表的クレームでありながら、このような質問があることは、現場にクレーム情報と対応が全く伝わっていないということである。
そろそろ現場へのクレーム情報や、クレーム一覧表の公開などが行われても良い時期である。

この種のクレームは1960年代から起きている。
洗浄後、乾燥するに従い汚水が吸いあがり、タフトが着色する。通常は「吸い上げ」「変色」などと呼ばれている現象であり、3種に分類される(下表参照)。
現在ではタイルカーぺット以外には起きていないように言われているが、ビルメン業界ではタイルカーぺットの占める割合が90%を超えるため、他の2種類の吸い上げが目立たないだけで、ハウスクリーニング業界では現在でも起きている。
このクレームの解決には、クレームの原因と対応の2つが必要であり、その裏にはカーぺットの種類と構造、清掃機械の性能、使用洗剤の種類と性質などの知識が必要である。


吸い上げ(ウィックアップ)の分類
カーペットの種類  
ウィルトン、アキスミンスター、タフト、
アクリルシャギーの白に多発
茶から赤
基布のジュートからの色
ブラウニング
タイルカーペット(ビチュウム)
ビチュウムの分解物
変色
獣毛タイプの場合、吸い上げは少ない。
タイルカーペット(塩ビ) 茶、黄、
タフトの根元の汚れ
ウィックアップ
注:1974年、住友ビルでタイルカーぺット(ビチュームバック)が全館で使用された。ヒューガ。フロアS
注:用語の使用法は正確なものではなく、その時代により異なる。英語のほうが使われる。
注:獣毛タイプはカットパイルで使用繊維が太く、荒い。フィットネスクラブ、ゴルフ場などで使用されている。
注:カーペットクレーム全般については『カーペットクレーム一覧表』参照。

このクレームが増大する危険性がある。
その理由は――

①最近のカーぺットに、吸い上げを起こしやすい構造が増えている。
②カーぺット用機械の性能低下。
(性能表示が無いか、実質性能と異なる機種が多い。
特に120ボルト仕様の輸入品を、日本の100ボルト電源で用いた場合に多い)

この2つがあげられる。すなわちカーぺット内部の汚れが残りやすくなっている。
最近の生活センターの資料では、ダストの60%が残るとのデータがあり、カーぺットメーカーの資料でも、バキュームを10回かけて50%が取れるだけという資料がある。
現在の吸い上げの対応であるパットによる拭き上げは、根本的解決にはならない。吸い上げクレームが短期間で起きる可能性が高く、その上、従来の拭きあげ方が利かない事例が増える可能性が高い。最近の事例では、Mビルが1年でこの現象が起きた。

クレーム問題は文章化するには反対が多いため、現状分析セミナー『2006年入札に向けて』の中で説明する予定である。
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